あと残り3ヶ月。

もうちょっと、もうちょっと・・・と言いながら、結局3年半というタイミングで香港での生活に別れを告げ、地元福岡に帰国が決定。
帰国は6月末、もう残り3ヶ月弱。

正直まだ日本には帰りたくないのが本音だけど、家族の事もあるのでここはもう言い訳なしに諦めて引き上げるタイミングかなと。
つーか、自分にそう言い聞かせる以外ない。

それにしても初めてこっちに来た時よりもナーバスになるのは何でだろう？
大分緊張する。


大学卒業後、アメリカ留学を考え直して地元で某家電量販店に就職。（もはや懐かしい話）
「福岡でDJ続けれるやん，仕事終わって親富孝通りまで10分やん。」ぐらいの気持ちでさくっと決めた仕事を結局3年と4ヶ月続けた。
今思い返すだけで自分でも笑ってしまうけど、本当によくあんな生活やってたな、と。
朝までDJして、酒飲んで、遊んで、始発で帰って数時間だけ寝て仕事なんてしょっちゅう。
ヘタしたらパーティー後、どっかでシャワーだけ浴びてそのまま寝ずに仕事なんて事も結構あった。
知る人ぞ知るレジェンドは「NYEのカウントダウン後撃沈、カールスバーグの樽とグルグル巻き」で捕われたイラン兵みたいになった後に朝8時から初売り・・・社会人として最もハーコーな瞬間だったかもしれない。

そんなこんな20代中盤を過ごしつつも、ストレスフルで楽しくない仕事の環境に（今思えばある意味良かった？！）別れを告げたのが2006年の夏。
しばらくブラブラしつつも、叔父の紹介により香港でアパレル関係の貿易をやってる会社で1年くらい勉強させてもらえるという話をもらって、即決。
「海外住めるのいいやん」くらいのノリで11月、26歳の誕生日の直後に単身で香港へ。
出発当日にDecadent DeluxeにTheo Parrishってのが超落ちた。


香港に来てから、最初は昼間はオフィスでパッキングや雑用の手伝い。
仕事の後はデジカメ持って独りでひらすら街を徘徊。
1ヶ月くらいでLan Kwai Fongに足を伸ばす様になり、間もなくYumlaを発見。
その頃はまだ友達らしい友達もそんなにいなかったんだけど、Yumlaに通い出して生活が急変。
すぐにDJや常連の連中と仲良くなってつるみ出し、毎週水曜、金曜、土曜と通う度に色んな人間に会い、日に日に友達が増えて行くのが楽しくてしょうがなかった。
その反面、昼の仕事では相変わらず何も新しい事をさせてもらえない、退屈極まりない日々が続き、日本で頑張って働いてる同世代にかなり置いてかれてく感が高まる。

そのうち日本人の友達も出来て、何気にDJをする事になる。
最初はヒロさんに誘われてLammaの発電所横のビーチでプレイ。
久々にDJしたのもあって、かなりアッパーなプレイしたんだけど、それがたまたまウケたようで島の連中や、遊びに来てる人らにともすっかり仲良くなった。
それ以降は、今はNYCに住んでるTottiが誘ってくれてクラブとかバーでもちょくちょくDJさせてもらった。（思えば最初にDJした時にもらった$500は、それまでにDJしてもらった最高額だった。笑）
そしてTottiが引っ越すくらいのタイミングでVolarでレギュラーが決定。
今思えば自分がVolarでなんて軽く笑いが出そうな話だけど、一応サイズは結構大きな店で、外国人のモデルとか、芸能人とかが出入りしてる人気の店だったので、周りからはビックリされた。
たまには入れ替えで1000人以上入った日もあったみたいだったし、始めの方は結構楽しんでた。

後々はブッキングエージェントとして日本からゲストを呼んだりもして仕事でもお世話になったけど、やっぱりコマーシャルな店だったので後ほどそのパーティーも自然消滅。
最後の方はメインストリームのHiphop, Electroばっかりなので自分も全然興味なくなってたし、その後もよっぽど何かのついでとかでない限りは行く機会のない店になってしまったけど。


話は戻り、まぁしばらく面白くない昼の仕事を続けながらも、ナイトライフだけはしっかり満喫してて、週末大分楽しんでた。
Dragon-iではNYC系のゲストDJが来てる時に遊び行って、オーナーやDJとも仲良くなる。
そういう音楽を通しての友達がいなければ、自分みたいなやつはまず縁のない様な店だけど。
他にもアフターアワーズ向けのBuddha Loungeとか、日本人の友達がよく飲んでたLinqとかでよく遊んでたかも。
Lammaで2回嵐の中パーティーをやって、コアなパーティーフリーク達と仲良くなったのもその頃。

夜遊びに関しては飲み込みが早かったかもしれないけど、昼の仕事は大した進歩が出来ずというか、元々3人とかで回ってた会社なのでやる事がなかったのもあって、フラストレーションがたまる毎日。
金もない、やることもない、でも何かもうちょっと香港いたい・・・的な状態が続きながらも2008年にそこを辞める事に。


それ以降はDJバッグを作ってた友達のマーケティングの手伝いをする事を決めるが、完全に歩合制で、他の仕事に対しての給料を払ってくれなかったのですぐに辞めた。
DMRとかにも卸したけど、結局費やした時間と労力の事を考えると今でも割に合わない仕事だった。
ちなみにそいつからはJoe Clausellの為に作った非売品のDJバッグを給料の代わりに強奪。笑
確かその頃にBAPEのパーティーでMuroさんと高木完さんとプレイ。


そしてその後数ヶ月はBuddha Loungeで週2，3でDJさせてもらい、それだけで食いつなぐも、そこでずっとやってる別のDJが専属で入る事になりまたプーに。


で、夏からDJ兼プロモーターとして働く事になり、Volar、Dragon-iにゲストを紹介したり、沖縄料理の「えん」や友達のネイルサロンでDJしたりとかしたけど、週末もオフィスから出なかったり、レイジーな生活が続いた。
何気にKitsuneのサポートや、有名アパレルブランドやセレクトショップのパーティーでDJもしたけど、それは全て会社じゃなくて自分の友人から来た話で、今思えば会社からそういう仕事をもらった事は一度もなかった。
何気に別の話から沖縄に行けたり、前にゲストで呼んだ方が神戸に呼び返してくれたりしたけど、やっぱりブッキングもプロモーションもほとんど自分でやって、なのに手元に残る額がこれだけじゃ生活して行けない・・・更には上の人と考えが合わずに口論になる事も増えて最終的にはFucked Up、2009年の5月に辞めた。最後4月分の給料はくれなかった。
超腐ってた時期だけど、やっぱり暖かい友達の励ましもあって、まだ日本には帰りたくなかった。

その後色んな知り合いに聞き回って何とか見つけたラウンジでのDJの仕事も、その店のオーナーが大分自己中なヤクザだったのと、そのグループが新しいレストランを出して予算が足りなくなった為にあっさり1ヶ月ちょいで契約切れ。

この時が一番辛かった。
1日40ドル使えるかどうか、家に引き蘢り、ひたすらDJの仕事を探しても、ドルが激落ちしてた頃でどこのクラブも経営が厳しくなって全然反応なし。
更に自分の立場上、話が出来ない店やプロダクションも多く、厳しい1ヶ月が続いた。
初めて家賃を払う金がなくて人に借りた。
もうこのままどうにもこうにもならなかったら、日本に帰るしかないと思ったけど、完全なLoserとして帰るのだけは絶対嫌だった。


福岡でのAsian Forceの為に一時帰国して帰って来てからは、香港での兄貴分の紹介で日本食の貿易をやってる商社でバイトさせてもらう事になった。
儲かってる会社だったけど、社長だけでなくオフィスの人間も皆エグイ感じで環境は最悪。
更に自分だけDJとバランスを取りながらのイレギュラーなシフトだったので同僚がよく思わず、給料も下げられたり、余計に働かされたりもしたけど、その頃はとにかく生活費貯めて貯金する事しか頭になかったので気にしなかった。
平日面白い事がないのは始めからそうだったから、少なくとも口座の中の金額が増えて行くのは嬉しくてしょうがなかった。

生活に余裕が出て来ると、DJも楽しんでやれる様になり、いつの間にかレギュラーの話や単発の話もどんどん入って来る様になった。
本当に自分の人生タイミング悪い事ばかりで、仕事が欲しい時には全然なくて、昼の仕事と掛け持ちで忙しくなり出してから、引き受けれないくらいに話が来たり。
1本分のギャラが生活を左右してたくらいなので、本当に何とかなって良かった。

という訳で2009年後半は、初めてまともな生活が出来て、「これからあんな事したい、こういう事を将来やりたい」みたいな意欲が湧いて来た頃。
DJもバンバンやりながら日本のサラリーマンと変わらないくらいの収入を得れる様になった。
正に3年間かけてやっとここまで来れたという時期。





そして正月明けに実家からの電話で、急遽帰国を決断する事に・・・。
やっとここまで来たのに？！タイミング悪い事この上ない。
でも理由が理由だからもう仕方がない。
残り半年間の生活を満喫しながら、日本に帰って何するか考えないとと悩み出す。

それとは裏腹に今年からはAdidas、Whotelでの毎週レギュラー、Yumlaでの隔月レギュラー、Linq、Armani Bar、East Hotelなどの単発に加えて、自分自身がオーガナイズするパーティーのMacroyも始動。

何とかDJだけでも食って行けるまでになって、更に金銭面だけでなく本当にクオリティを追求するパーティーで勝負しようっていう気合いも充分だった。




始めは「このまま手ぶらじゃ帰れない」
そして今「やっとここまで来たのに帰らないといけない」
しんどい事極まりない。
香港でもっと頑張りたい、日本にはまだ帰りたくないという本音・・・。



香港のクラブシーンも厳しいけど、まだ職業として成り立つし、一応ここではそういうとこまで来れた。
日本はDJで食っていこうなんて夢のまた夢。
これから帰って仕事探さないといけないけど、自分のアドバンテージって英語話せるくらい？
日本でのブランク4年間、就職歴3年4ヶ月。今年で30歳。
そしてこの不景気＋雇用率最悪の状態。かなり無理のある展開。

もちろん、帰国後はDJもする気マンマンだし、昼もちゃんとした仕事しないといけないけど、生活のギャップに大分ビビり気味。
まずはこういう自分みたいな例外を受け入れてくれそうな仕事探さないと・・・・・。



でもあと残り3ヶ月でAsian Force in HKもやるし、上海にも行くし、帰国前には北京とかにも行くつもり。
あとまたビザも申請して、今後も仕事持って帰って来たり、DJしに帰って来る予定。



残り3ヶ月・・・香港での最後の生活を満喫したい自分と、日本での新しい生活に備えないといけない自分が見え隠れ。


とりあえず法事で今月21日か22日に一時帰国するのでしっかり街を見直してみよう。
これからまた住む事になる福岡。
3、4年も経てばもう夜遊ばなくなった人もいるだろうし、パーティー行っても知らない人大分多いだろうなー。
すぐ馴染めるかな？勝手に馴染みにかかると思うけど。笑
でもまずは色んな友達の顔がまた見たいかな。


お暇な人はお茶でも、テキーラでも。